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【番外編】旅行記と紀行文と旅ブログ

旅行記と紀行文と旅ブログ カフェ「Mon Cheri」でパニーニとアメリカーノの朝食。ティラーナは二日目の今日も雨。店員の女性はSFアニメの宇宙人のような目の色をしている。 突然だが、旅行記と紀行文と旅ブログは以下のように異なるものであると感じる。 旅…

【アルバニア/ティラーナ】透明

小さな国の、小さな首都 朝方に到着したバスステーションのカフェでコーヒーを飲み、気力も湧いてきたので今度は隣の店に移動してしっかりめの朝食をとった。オムレツ、ソーセージ、チーズ、バスケットに入ったパンが二枚。店の壁にかけられた絵には雪山と麓…

【ギリシャ/アテネ】「ありがたみ」のほかに

平成から令和へ ギリシャにいるあいだに日本の元号は平成から令和に変わった。日本ではそれなりに盛り上がっているようだが、こちらはふーんという感じだ。距離的に遠いところにいることだけがその理由ではない。「時代の節目」はたしかに同時代を生きる人々…

【ギリシャ/アテネ】「赤ちゃんでも使える」

「赤ちゃんでも使える」 アテネの中心部の街並みは美しく、ツーリスティックで、数えきれないほどのレストランが密集していた。テラスや通り沿いに客席は迫り出し、朝と夕方は白いテーブルクロスの上にワイングラスが逆さに置かれて、浮かれた団体客や豊かな…

【ギリシャ/アテネ】夏のはじまり

ユーロとヨーロッパ 機内食で出されたベーグルを食べながら、ロバート・A・ハインラインを読んでいると窓の下に山がちなギリシャの大地が見えてくる。イスラエルの国営航空会社である、エル・アル航空の機体は、アテネ国際空港に着陸した。空港のATMでは、ど…

フォトギャラリー

モンゴル パミール高原 ウズベキスタンの鉄道駅 ウズベキスタンの砂漠 マレーシア、クアラルンプールの繁華街 マレーシア、ペナン マレーシア、ジョホールバルのゲストハウス 香港 中国、広州 ベトナム、ダナン ベトナム、ホーチミンシティ タイ、プーケット…

【イスラエル/エルサレム・テルアビブ】「ああ」にはいろんな感情

「ああ」にはいろんな感情 パレスチナ問題とはなんなのか。そうしたことに理解や関心があって、イスラエルとパレスチナに出向いたのではない。ぼくにとってその土地はなるべく多くの国を見たいと思って続けた長い旅の「通り道」だった。それだけだ。それは、…

【パレスチナ/ベツレヘム】メッセージはアートを……

生誕の地 二泊したラマッラからシェアタクシーを利用して同じパレスチナ内のベツレヘムへ移動する。ここでも水不足は大きな問題らしく、シャワーの時間は7分以内にするように宿の主人に厳命される。ラマッラはひらけた坂の街だったが、ベツレヘムは崖の街だ…

【パレスチナ/ラマッラ】人の道を説くことで

黒いタンク 朝、ドミトリーで隣同士だった若いイタリア人男性と話し、「Garage」というカフェがラマッラではおすすめだと教えてもらう。自分は今日もそこにいるから、よかったら来るといい。男性がそう言ったので、ぼくは昼過ぎに「Garage」を訪れた。 パレ…

全行程

訪れた地域と時期の簡単なまとめ

【イスラエル/エルサレム】王国の城下町からパレスチナへ

1973とユダヤ人の美しさ 街路樹の木は枯れている。だいたい鹿児島県と同じ北緯31度に位置するエルサレム。4月の末はまだまだ肌寒い。昨晩の雨はあがって、青く硬質な空が澄み渡ったが、遠方では雲の流れは早い。街はまだ少し濡れていた。ウィンドブレーカー…

【イスラエル/エルサレム】聖地の屋根裏

エルサレムで寝床をさがす 夜のエルサレムに到着した。バスターミナルの建物を出たところに、トラム(路面電車)の小さな駅があったが、電光掲示板はこの日の便がもう無いことを示している。ぼくはオフラインで使える状態にしていた地図アプリを駆使して、街…

【エジプト/ダハブ→エルサレムへ②】エイラトから死海を通って

イスラエル入国 バスのチケット代を持ち合わせていなかったために賭けのような気持ちで乗ったシェアタクシーは無事にイスラエルとの国境に到着した。バスよりも早かった。砂漠の中をひた走り、ときどき海岸線が見え、寂寥としながらもうつくしいビーチをいく…

【エジプト/ダハブ→エルサレムへ①】低予算

エジプトのダハブからイスラエルとの国境に向かうバスのチケット代金は調べていたはずだったが、なぜか最終的に財布に残っていたエジプト・ポンドはそれに足りていなかった。ぼくはそのことに当日、バスターミナルに着いてから気がついた。出国は目前だ。今…

【エジプト/ダハブ】西の山に陽が沈み

長い眠り ダハブには三泊する。イスラエルとその国境には未知数なところが多く、出たとこ勝負になりそうだ。あちらは物価も違ってくるだろう。ぼくはダハブという海の町を、ヨーロッパに入る前に安くだらだらと休息できる最後の地点だと捉えていた。小さなホ…

【エジプト/アレクサンドリア → ダハブ】砂漠と海

レベル3区域へ 夜の十時に、乗客の少ないダハブ行きの夜行バスは出発した。ダハブはシナイ半島の東の海岸沿いにある。そのシナイ半島はアフリカとアジアの結節点にあった。エジプトの国土だが、アカバ湾を挟んで対岸にサウジアラビア、そして北に陸続きでイ…

【エジプト/アレクサンドリア】クレオパトラのBeautiful

お気に入りの「タスク」 狭い雑貨屋で、肌に塗るためのココナッツオイルと二つの固形石鹸を買った。石鹸の原材料は、片方がゼラニウム。もう片方が死海の泥。ぼくがこの旅で持ち歩いていた洗面用品は唯一、二つあった。それが、固形石鹸と顔用の保湿剤である…

【エジプト/アレクサンドリア】地中海と1929年のコーヒーショップ

地中海 七十ポンドの鉄道チケットを買って、首都カイロから、地中海を望む港街であるアレクサンドリアに向かった。アレクサンドリアといえば、古代の図書館であるアレクサンドリア図書館や、小説『アレクサンドリア四重奏』が有名な、なにかとロマンチックな…

【エジプト/カイロ・ピラミッド】ゼロになる文明

到着日 アブダビ発カイロ行きエティハド航空EY655便のキャビンアテンダントは金髪だった。手元に置いておきたいデイパックも頭上の荷物入れに仕舞うように指示されたが、機内食はなかなか美味しい。お昼を回っていたので飲み物にはワインを選んだ。アブダビ…

【アラブ首長国連邦/アブダビ】白いモスクと緑の海

白いモスクと緑の海 アブダビの朝をむかえた。部屋に備えつけられたポットで沸かしたお湯と、携帯していたティーバッグを使って紅茶を飲み、洗濯をして、通路に置かれた物干し台に、許可をとって洗濯物を干した。アブダビにはシェイク・ザイード・グランド・…

【アラブ首長国連邦/アブダビ】ある商社マンの半生と、フィリピン人たちの共同生活

ドバイとアブダビ ドバイ発アブダビ行きのバスは35ディルハム。USB差し込み口とエアコンが完備され、F1サーキットのように濃くなめらかな道路が硬い砂漠の上に伸びていた。誰とも話さずに乗り続けたバスを二時間弱で降りると、アブダビは、火あぶりにされて…

【アラブ首長国連邦/ドバイ】I Don't Have My Place

「テレビで観たんだけど、日本人はカエルを食べるんでしょう?」 煌びやかなドバイにも下町があると知って、ドバイメトロのAl Ghubaiba駅から歩くスパイススークという地域に向かった。だが、ぼくはスパイススークを楽しめなかった。歴史的な街並みや、ロー…

【アラブ首長国連邦/ドバイ】多国籍ホステル

多国籍ホステル ドバイ最安クラスのホステルは10ドルちょっとだった。そのドミトリーはドバイインターネットシティ(Dubai Internet City)というすごい名前の駅から歩ける、中国にもありそうな高層ビルの中にある。オーナーはファンクというアフリカ系の若…

【アラブ首長国連邦/ドバイ】三月のドバイの朝

人種の間違われ方 オマーンからUAE(アラブ首長国連邦)への国境を越えた夜行バスの乗客は、ほとんどが出稼ぎのインド人とパキスタン人だった。そのうちのひとりからぼくはインドネシア人に間違われた。アラビア半島からするとインドネシアも日本も、その遠…

【オマーン/マスカット】心づけをくれないか

ファンタオレンジ ドバイ行きの夜行バスを、人の少ないバーガーキングで、ファンタオレンジを飲みながら待っていた。バーガーキングなんて普段なかなか行かないし、ファンタオレンジなんて子どもの頃だって飲んでいない。ハッサンが、車でこのバスステーショ…

【オマーン/マスカット】Help!

Help! Airbnbステイ三日目は、Cave(洞窟)に連れて行ってくれた。例によってメンバーはホストのハッサンとぼく、そしてドイツ人ゲストのラージとアレックスだ。ただし、これはツアーである。ハッサンに10リヤルを支払った。ぼくはひとりでマスカットの街を…

【オマーン/マスカット】それはお金があるなしとは別の話なのである

温泉にて ハッサンはなにかと我々をもてなす。金曜は午前に週次のpray(お祈り)のためモスクに連れ出してくれただけでなく、その昼に奥さんの手料理をいただいた後は近場の温泉に車で案内してくれた。温泉? オマーンに温泉があるというのは意外だった。日…

【オマーン/マスカット】金曜日のモスク

金曜日のモスク 金曜昼にモスクへ向かった。Airbnbのホストであるハッサンの車に、ドイツ人ゲストの二人とぼくが乗った。ラージとぼくはトーブを着ている。アレックスはキリスト教徒であるためトーブを着なかった。ハッサンの持ち物である真っ白いトーブを着…

【オマーン/マスカット】異教徒と無宗教

way of life Airbnbのホストであるハッサンに宗教を訊かれた。当然だが、ぼくには宗教がなかった(当然ということもないか)。ない、と答えたぼくにハッサンは「宗教は誰だって持っている、なぜなら、宗教はway of lifeだから」と、そう言った。wayには方法…

【オマーン/マスカット】ここで死んだらかっこ悪い

ここで死んだらかっこ悪い 交通のハブとなっているRuwiまでタクシーで行き、Ruwiから観光の中心地であるMutrahまで、この土地ではそれほど数の多くない路線バスに乗った。月が出ている。到着したところで安い店に入りケバブを食べた。それから南に、海沿いを…