未来の自分なら、旅に出かける前の心境も読みたいかもしれない

自分はいつか長い旅をするだろうな、と思いはじめたのはいつからだろうか。
もうそれは、高校生くらいから始まっていた気がする。

 

それは、夢や情熱というほど大げさではなく、趣味やレジャーというほどお手軽でもなかった。
前提というか、誰だって一度はそういうことするもんだよな、くらいの認識だった。
より正確には、長い旅を「いつかする」のではなく、自分の人生に長い旅は「いつかくる」と思っていた。

 

大学生になって夏にひとりで旅行をするようになった。
一年生の夏に青春18きっぷで、東京から関西までを往復した。
二年生の夏に上野から北斗星に乗って函館までいった。周遊きっぷで北海道を時計まわりに巡って、帰りは苫小牧から大洗までフェリーに乗った。

 

ぼくにとっての旅のほぼすべては沢木耕太郎の『深夜特急』にあるとずっと思っていたのだけれど、『深夜特急』を初めて読んだのは上述の国内旅行2つを終えた後、大学二年の冬だった。
その後、働き始めてから、初めて海外旅行をした。

 

沢木耕太郎が旅に出たのは26歳であり、彼は常々26歳最強説を提唱していた。
ぼくもとてもそれに共感した。
まず第一に、旅の資金はすべて(旅の資金を貯めるまでの生活費も)自分で稼いだものでなければ意味がないと思っていた。
そして、旅は子どもがするものではないと思っていた。

 

旅ブログを書くとしたら、その目的はなんだろうか。
人によってちがうとおもうけれど、ぼくの場合は未来の自分に向けて書きたいと思う。
大学四年生の大阪〜九州旅行のときに書いたブログは、働き始めてからもしばらく見返していた(いまは閲覧制限をかけたあげくログインパスワードを忘れて自分でも見れなくなっている)。

 

未来の自分が何を読みたいかと言えば、なるべく率直でリアルな「当時考えていたこと」が読みたいと思う。だから旅に出る前、現時点での率直でリアルな「考えていること」を書いてみる。


1.意外と何も考えていない
予定では旅立ちまであと半月程度だが、あまり深く考えていない。準備も進んでいない。
ドコの国にいくのか、どうやって行くのかもなんとなくしか決まっていない。
ときどき晴れた日の朝や酒を飲んだ夜なんかに、いよいよだなという純粋な喜びがこみ上げてくるけど、それ以外はあまり考えていない。興奮も不安もそれほどない。ちなみに今ぼくは働いていない(!)。

 

2.節約のこと
全財産が旅の軍資金になるので、すでに節約マインドになっている。
これアジア圏なら宿一泊分やんけ、などと今から金勘定をしている。
毎日飲んでいたビールもやめて(減らして)、数十円を節約するために一駅分歩いたりしている(そして毎日スタバに行っている)。

 

3.音楽のこと
ぼくは音楽を聴き、つくり、ギターを弾く。これまでとなにもかわらず音楽のことを考えている。曲はインターネットで公開したりもしているけれど、それはまた別(アカウント)の話。
旅先にはパソコンとギタレレを持っていくつもり。

 

4.東京喰種(グール)のこと
5月から石田スイの『東京喰種』を読んでいる。この二ヶ月、ぼくの半分はグールの世界に生きている。旅の準備が進んでいないのは本作のせいである。

 

5.仕事のこと
ぼくはシステムエンジニアとして働いていた。父の会社で業務フローの一部をシステム化するということで、その開発を請け負う方向で動いている。
旅に出てもエンジニアとして上手いことなにかできればなあという希望はある。

 

6.ひかrewriteのこと
もしもぼくの旅に物語を見出すとしたらそれは2017年の7月から始まるべきだ。
ひかrewriteは『たいchillout』の名付けの親であり、このブログとTwitterの共同運営者である。
ぼくとひかrewriteはただの友人だが、ただの友人ではない。二人の人生は、不思議な縁で、本当に不思議としか言いようのない縁で、いま奇跡的に交差している。
旅に向けてのシナリオが期せずして整っていったこの一年をどの角度から切り取っても、そこにはひかrewriteの2017年と2018年が一緒に映り込んでいる。
この一年の話をぼくたちは一生続けることができるだろう。

 

これらに加えて、引っ越してきた新しい街のこととか、もう離れたコミュニティにいた人たちのこととか、Twitterで見かける人たちのことなんかも、きっとあたまでうごめいている。
最後に、此の度ぼくは一緒に暮らしている彼女にマイホームのお留守番を頼むわけだが、その人については何一つ適切な言葉が見当たらない。
未来のぼくはちゃんと生きていて彼女は一緒にいるだろう。それはぼくが1ミリも疑っていないいくつかのことの中でも、特に明らかにすぎることであり、つまりいまさら考えもしない。


(たいchillout)