和歌山行きのきのくに線に乗る前に朝食を食べたときのこと

民宿「南紀」の畳の部屋からは海が見えた。そのことに朝起きてから気がついた。バックパックを置いたまま、朝霧が晴れたくらいの時間にとりあえず堤防まで行って、チョコレートを食べた。
夜の駅で鷲掴みしたパンフレットを見て行きたかった喫茶店があったが、あいにく定休日だったので諦めて街をぶらついた。雨は降りそうで降らなかった。午前中、串本を観光する時間はあったが、歩いているうちに次の宿をとっておいた和歌山に行ってしまうことに決めた。「南紀」をチェックアウトして、モーニングだけ串本で食べたら次に行こう。歩いているうちに喫茶店の候補はいくつか見つけていた。
シャワーを浴びて、ぎこちなくバックパックを片付け、ぎこちなくバックパックを背負い、いざ「喫茶 じゃすみん」に向かった。「喫茶 じゃすみん」のほうが「喫茶 ロン」よりも朝食が充実してそうだったからだ。前日は夕飯を食べていなかった。こんどこそ、洋食を、トーストやスクランブルエッグやコーヒーを、たらふく摂取したい。
ところが駅前を差し掛かったぼくに衝撃が訪れる。駅前ビルの二階に見える「喫茶 らる」が営業していたのだ。「喫茶 らる」は木曜日は定休日のはずだ。パンフレットにもそう書いてあるし、朝早い時間に通った時も、やはり閉まっていることを確認していた。
ドアをくぐると上品なおば様がひとりで出迎えてくれた。確かに、営業している。ぼくはサラダとハムエッグと厚切りトーストの「トーストセット(500円)」を頼んだ。もちろんコーヒーつきだ。うまい。トーストが厚い。文句なしにうまいので、トーストとドリンクだけの「サービストースト(350円)」を追加注文した。今度は紅茶だ。充電コンセントをお借りしつつ、1.5時間は一人だけの店内に居座ってから、お昼に電車内で食べようと「おにぎり2個(250円)」をテイクアウトした。具は何でも良いかと聞かれたから、何がありますか、と聞き返したら「おかか」と「こんぶ」しかないとのことだった。店内のテレビではベルギーに破れたサッカーの日本代表が帰国するというニュースが流れていた。ぼくが出国することのほうが一大ニュースだ。
おば様に聞くところによると、7月は何日か臨時休業があるらしい。その代わりに、期間限定で本来定休日であるはずの木曜日も営業することにしていたらしかった。
ついている。昨日の虹しかり、この旅はついている。そう思わずにはいられなかった。
和歌山までの切符は自動券売機で買えない。窓口で駅員さんに作ってもらう。大きい荷物をヒョロヒョロ持ってるだけで、微笑ましいのか、にこにこしながら乗り換え方などを丁寧に教えてくれる。

f:id:taichillout:20180712142652j:plain

ここから乗った。

 

(たいchillout)