【オマーン/マスカット】Lazy to Travel

Lazy to Travel

空港バスはマスカットの中心エリアであるRuwiへと向かう。滑らかで気持ちの良い道路。ところどころに岩山のある景色が新鮮で、そんな中に日本の車メーカーの大きなビルと大規模なショールームが目についた。
指定のバスステーションで下車し待っていると、これから数日お世話になるAirbnbのホスト、ハッサン(仮名)が愛車で現れ、我々は自然にハグをした。初めてのAirbnb。ハッサンの顔はアプリで見ていたが、ぼくはそれなりに緊張していた。ゲストハウスと違い、Airbnbはホストとゲストがパーソナルなコミュニケーションをとる。ハッサンはぼくよりも若いがすでに結婚している。顔立ちはさすがアラブの男、こちらがたじろぐほど彫りが深い美形だ。他のオマーン人の多くと同じく、日常着として民族衣装である真っ白いトーブを着ている。
ハッサンの車で家まで送ってもらった。ハッサンはまたこれから仕事に戻り、夜にはドイツ人のゲストを空港に迎えにいくらしい。今夜のゲストは二人のドイツ人男性とぼくの三人ということだった。ぼくが世界を放浪しているという話をすると、ハッサンは驚いたものの、ハッサン自身は放浪の旅にそれほど関心を持っていないようだった。I'm lazy to travel. 「ワタシは旅にはlazy(怠ける)なんだ」ちょっと自嘲的にそう言った。

 

1リヤル800パイサのアメリカーノ

ハッサンの家は戸建てではなく、真っ白いマンションだった。団地のように複数の棟が建っており、十分な数の駐車場と、棟に囲まれるように公園風のスペースもある。しかし外周を見渡すと360度岩山と砂場だった。地域全体が開発途中という趣もあったにはあったが、つまり今のところは家の周りには何もないということだった。車で送迎が必要なのはそういうわけだったのである。途中、乾いた砂の道をとぼとぼ歩いていけば十五分という距離にかなり大きなショッピングモールがあり名をCity Centreという。Centreという綴りは誤りでは無い。アラブ圏ではCenterではなくCentreという綴りの方がメジャーで、どうやら出本はイギリス英語らしい。
いい匂いのする個室に案内され、シャワールームなども見せてもらう。自宅というだけあって清潔にされている。自由に使えるシャンプー類、そしてキッチンの出入りにも制限はない。調理器具や食材も無許可で使っていいらしい。とてもじゃないがぼくはプライベートをここまで公開することはできない。 Airbnbってこういうもの? それともハッサンのサービス精神が特別なのだろうか。
「自分は仕事に戻るが、たいchilloutはこれからどうしたい?」
「とりあえずカフェにでも行こうと思う」
そう言うと、カフェか…と、それがまるで意外であるかのような顔をした。そして、驚くべきことにハッサンは、自宅近くにどんなカフェがあるのか知らなかった。話のいきがかり上その場で調べてもらったBike Cafeというところに、その後ぼくは一人で行った。1リヤル800パイサのアイスアメリカーノを飲んだ。その価格は日本円にすると500円を超える。オマーンは場合によっては日本よりも物価が高いという事前情報を残念なことに裏付ける、それは衝撃的な価格だった。ぼくは生唾を飲み込んだと思う。

(たいchillout)

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バスターミナル

 

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旅ではおなじみ、カフェのWi-Fi