【アラブ首長国連邦/ドバイ】毎日がドバイモール

毎日がチキンサモサ

メトロのドバイモール駅からドバイモールまで、ピカピカの連絡通路がある。ムーヴィングウォーク(動く歩道)なども駆使して、十分弱でドバイモールに到着する。併設のオフィスビルなどもあるが、その連絡通路を歩く様々な国籍の大勢の人々はほとんどみんなドバイモールに行くのだから、気分も盛り上がってくる。窓からは時折モールの外観が見える。世界一高いビルであるブルジュ・ハリファも、その足元が見えた記憶がある。
いよいよエントランスが近づいてくると、連絡通路の左右にはジューススタンドなどのテナントが現れてくる。ぼくは毎日、その中にある小さな店でアツアツのチキンサモサをテイクアウトして、それを朝食としてドバイモールの中のベンチで食べる生活をしていた。「あなた、ドバイモールで働いてるの?」何度目かのチキンサモサで、レジの女性に突然そう言われた。

毎日がドバイモール

ドバイモールは、WiFiが強くて、涼しくて、広くて清潔で良い匂いがした。フードコートは高いので、ほとんど行かなかった。ブランド品や土産物の物色もしていない。水族館などのアトラクションも人気だったが、ドミトリー何泊分のコストがするのか考えるのも気が進まず、ノータッチだ。ブルジュ・ハリファのふもとで行われる無料で観覧できる噴水ショーだけは、楽しんだ(モール中からその時間に人が集まってくるイベントで、お祭りのように盛り上がる)。
一貫してぼくは、ドバイモールそのものの雰囲気を楽しむことと、ドバイモールに遊びに来る人々を見て楽しむことを目的に、ドバイモールに通った。快適さは申し分無かった。十二時半にモール全体にコーランが鳴り響く。小さいラップトップで、この旅ブログを書きながら、スターバックスやカフェ・ネロを渡り歩いて、午前か午後のどちらかはこのドバイモールでゆっくり時間を過ごした。
車社会のオマーンでは、公共的なインフラに恵まれない中、Airbnbのホストの夫婦と同じ家で寝泊まりしていたこともあって、マイペースとは勝手が違う旅になった。その前のスリランカでは、入国時点で出国のチケットも持っていたため、気持ちは次に向かう緊張感を維持していた(あれ、今思ったけど、入国時点で出国のチケットを持っているって本来は当たり前のことなんだよね。)。要するに、何が言いたいかというと、マイペースこそがぼくの旅の本分であることを、ここドバイでは久しぶりに心ゆくまでに自分に確認することができたということだった。
メモを見るとドバイには、十二泊もしている。一体何をやっていたんだか。

ちなみに、一度だけ食べたフードコートのハンバーガーは66ディルハム30フィルス。これはなんと二千円近い。それに対して、ぼくが毎日テイクアウトしたチキンサモサはわずか、3ディルハム15フィルスだった。このサモサを二つに、あったかいチャイも付け足して朝食にした。その朝食と、ハンバーガーと、どちらを食べているときに、自分は幸福だったか。忘れてしまってはいけないのである。

(たいchillout)