【アラブ首長国連邦/ドバイ】多国籍ホステル

多国籍ホステル

ドバイ最安クラスのホステルは10ドルちょっとだった。そのドミトリーはドバイインターネットシティ(Dubai Internet City)というすごい名前の駅から歩ける、中国にもありそうな高層ビルの中にある。オーナーはファンクというアフリカ系の若い男。同じ部屋でアルジェリア人の青年に出会う。

シャワーを浴びて、早速延泊を申し出る。アフリカ系の人間がこんなに多い場所は初めてだ。FaceBookでドバイの位置情報にチェックインすると、何人かからコメントがあった。ぼくが発展途上国を中心に低予算で冒険の旅をしているというイメージを持っていた人たちは、ドバイを通過していくことを意外に思ったようであった。

ホステルは良心的な価格設定だが、食事処には困るかもしれない。ホステルにキッチンがあったので、ぼくはこのドバイで初めて、今後のためにも(ヨーロッパはもっと外食が高いかもしれない)簡単な自炊をやってみようと思った。コンビニやスーパーマーケットをチェックし、手始めにインスタントの乾麺とコリアンダーを買ってきた。麺とコリアンダーを一緒に、ホステルのキッチンにあった鍋で茹でて、同じくホステルのキッチンにあった器とフォークで食べてみた。この旅で初めての自炊にしては、なかなか悪く無い味だった。

アルジェリアの青年はウワリという名前だった。アクセントは「ワ」にある。同じ部屋でエジプト人のモハメドという中年男と出会い、今の季節はエジプト旅行のベストシーズンだと教えてもらう(ぼくはこの後エジプトに行くかもしれなかった)。ジョージアから来た女性と軽く話をする。翌日朝、一週間後にドバイで働き始めるというカザフスタン人男性に会う。その夜には、この宿に住んでいるという、ぼくと歳が近い中国人男性二人に会った。その他にもこの二、三日で、アゼルバイジャン人の女性二人組、タイ在住のガタイの良いフィリピン人、ロシア人のお婆ちゃんなどと言葉を交わす。まったく、多国籍だ。それも、これまで出会ったことのない国籍の人がこのホステルには多い。後になって段々と分かってきたことだが、このホステルは、ドバイに仕事を求めて国から出てきて、仕事を探しながら、もしくは働きながら、長期滞在をしている人たちの拠点になっているようだった。バックパッカーはほとんど見かけない。純粋なUAE人もいない。期せずしてぼくは、経済都市ドバイのディープな側面を垣間見るには最適な、なかなか刺激的な場所に、初日から紛れ込むことに成功したのかもしれなかった。

とはいえ、ずっとホステルで人との交流ばかりしていても旅は始まらない。早速、メトロに乗って世界最大のショッピングモール、ドバイモールに出かけた。