2019-01-01から1年間の記事一覧

【ラオス/ルアンパバーン】久しぶりのまともな人

雨と道路 この旅で学んだ具体的な知識の一つに「道路は雨によって破壊される」ということがある。それを学んだ訳は単純だ。国の経済レベルが同程度であるとき (つまり道路の補修に回せる予算が同程度であるとき) 、雨の多い国であるほど、道路の状態が悪かっ…

【ラオス/ヴァンヴィエン】ニワトリからワインまで

定番の辺境と内向き志向 道無き道を切り開いているように見えるバックパッカーたちでも、現代のバックパッカーはそのほとんどが定型化されたルートを辿る。意外にもそこが非先進国であるほど、バックパッカーの旅路は定形化される傾向にあった。考えてみれば…

【ラオス/ヴィエンチャン〜ヴァンヴィエン】真面目で爽やか

舐められちゃダメ? ヴァンヴィエン行きのミニバンで一人の日本人男性と乗り合わせた。彼の名はS太。オヤジがシンガポールで働いており、自身はニュージーランドでつい先日までワーキングホリデーをしていたという大学生だった。ワーホリが終わってからシン…

【ラオス/ヴィエンチャン】調和と予定調和

はじめてのHIS ヴィエンチャンでHISに行った。それまでは日本人のいることが明らかな場所 (日系旅行会社、日本大使館、日本食レストラン、日本人宿) に軽々しく出向かない制約を、特に理由もなく、課しているようなところがあった。しかしヴィエンチャンの街…

【ラオス/ヴィエンチャン】固定イメージの外部にある風景を探し

バンコクと東京 「日本人が来たのははじめてだ」と言われた開業したばかりの「Bike & Bed」というホステルに二泊し、タケクからヴィエンチャンに向かった。Bike & Bed のオーナーはバンコク出身のタイ人男性だった。彼はバンコク時代、富士通の子会社でC言語…

【ラオス/シーパンドン〜パクセー〜タケク】南ラオスを北上する

Real Countryside シーパンドン (4000 Islands) でハンモックにぶら下がってメコン川を見るだけの二泊三日を過ごして北へ向かった。目指すは首都のヴィエンチャン。そしてさらにその北部のルアンパバーンという町に行けば、メコン川をさかのぼるボートに乗っ…

【ラオス/シーパンドン】四千の島と星空

自由と責任のネバーランド カンボジアからラオスに越境した。バンのようなものを乗り継ぎ辿り着いたカンボジア側の国境には小さな商店が一つ。「ラオス側よりここの方がレートが良い」と言うバンの運転手の言葉を信じ、ぼくたち乗客は揃ってその商店で両替を…

【カンボジア/シェムリアップ】アンコール遺跡とレッドピアノ

黄緑の平原と泥水の川 マウンテンバイクを5ドルでレンタルし、朝からアンコール遺跡に向かった。徒歩でまわり切るにはアンコール遺跡は広すぎるらしい。予算があるならガイド付きのトゥクトゥクを雇うべきとのこと。それでも2、3日かける旅行者も多いらしい…

【カンボジア/シェムリアップ】CHILL CITY

トイレ問題 朝 (2019年1月1日、あけましておめでとうございます) 。開店直後のカフェに入り、ホットドッグ、フレンチトースト、ホットチョコレートをオーダーする。コーヒーではなくホットチョコレートを飲んだ理由は、これから、ここプノンペンから次の町シ…

【カンボジア/プノンペン】王国麦酒醸造所と日本人橋

YOUR ADVENTURE BIGINS HERE 午前のうちにカズキたちはシェムリアップに移動した。シェムリアップにはあのアンコールワットがある。当然ぼくもそこに行く予定だが、ぼくはプノンペンでもう一日すごすつもりだ。二人とはシェムリアップで連絡をとりあう約束を…

【カンボジア/プノンペン】インドとクルマ

バックパッカーとしてのアイデンティティ プノンペンに到着したのは真夜中も零時を過ぎていた。一国の首都でありながらバスターミナルらしいバスターミナルもなく路上に放り出されたも同然だった。放り出された乗客たちはすべての光源に恐怖するまっくろくろ…

【ベトナム/ホーチミン・シティ】一時のバスと四時のバス

オレンジの香り 狭い屋上で朝食をすませて街にでた。晴れている。荷造りは後でいい。今日は移動日なのだ。ドラッグストアで虫除けスプレーを買った。日焼けした両腕にそれをかけると辺りにオレンジの香りが漂った。オープンカフェでベトナム式コーヒーを飲ん…

【中国/広東省/広州】一日しか会話をしたことのない友だち

「夏の想い出」フォルダに日付を入れて 旅路が広州に近づくにつれてぼくはだんだんと不安になっていった。ぼくにとって二人は特別な存在だったが、二人にとってのぼくも、同じだと考えて良いのだろうか。あの夏以降、ぼくは本当にたくさんの人と出会っている…

【番外編】フラッシュバック(前半)

旅も変われば文章も変わる。当時あの記事がどんな心境で書かれたか。いま読み返すとどう感じるか。お気に入りの記事を中心に、時系列で自己言及をしてみたい。あるいはインターネットの大海を彷徨ってこのブログに漂着した人のための入門ガイド。 taichillou…

【日本/東京/文京区】旅にでるまで (4)いちょう並木のセレナーデ

バーベキュー 一年前、偶然居合わせた女子大生グループと交流できたことを忘れられなかったのだろう。社長は今年 (2017年) の夏もバーベキューをやろうと言い出した。暑い日だった。場所は豊洲だ。ぼくはボストンで買った真っ赤なTシャツ (Beerと大きく書か…

【ベトナム/ホーチミン・シティ】人生で一番美味い酒

因縁 ホーチミン・シティ行きの夜行バスが停車し、消灯されていた車内に再び明かりが灯った。トイレと食事をかねた休憩のようだった。真夜中だったが空腹を感じた。そこでフォーを食べることにした。丸テーブルで出来上がりを待っていると、隣の男性に突然 J…

【ベトナム/ダナン・ホイアン】南シナ海とプレゼント

ダナン 夜のビーチを駆け回るのはハスキー犬。南シナ海上空の月が雲に隠れては顔を出す。ウズベキスタンで会ったアライくんは家族旅行でイタリアのヴェネツィアにいるらしい。ぼくはビーチ沿いのバーでサイゴンビールとフレンチフライをオーダーした。ビンコ…

【ベトナム/フエ】亀とビールと隠れんぼ

バスと自転車とランドマーク 久しぶりの個室。クイーンサイズのベッド。真っ白いシーツ。真っ白い掛け布団。真っ白い壁。真っ白いバスタオル。専用のバス・トイレ。窓から差し込む午前の日差し。これで1,500円くらい。フエは一泊だけのつもりで奮発した。部…

【ベトナム/ハノイ】路上

ベトナム縦断 ベトナムは縦に長い。北部に首都のハノイ、南部に最大の都市ホーチミン・シティ ( = サイゴン) がある。ノービザ滞在可能日数は十五日。ハノイからスタートし、ホーチミン・シティからカンボジアへ抜けることができるだろうと踏んでいた。それ…

【日本/東京/文京区】旅にでるまで (3)恋の話

恋の話 スペインのマドリードでぼくは、二つの恋の話を聞いた。 モンテネグロのホステルで出会い二時間だけ話をして別れた日本人のYくん (そのとき、Yくんはバルカン半島を南下し、ぼくは北上していた) のインスタグラムを見て、彼がスペインに来ていること…

【日本/東京/文京区】旅にでるまで (2)この会社を好きになってもらうこと

東公園 正確に言うとそれは公園ではないのだが、公園ということにしておく。会社の東にあったので、東公園と呼んでみよう。ぼくは東公園をよく散歩した。夏に入社し、四度目の夏が来る前に退社したので、文京区の春夏秋冬をかっちり三回ずつ経験している。 …

【ベトナム/ハノイ】カフェ天国とアニメ

気取った感じのないアシンメトリー ハノイは朝の六時だった。通りから、自転車も通れない小道を入って、ホステルらしき門の前まで来たが、見事にシャッターが降りている。インターホンを押しても反応が無かった。仕方ないので、シャッターの前にあった椅子に…

【ベトナム/ハノイ】夜明け

ベトナムのハノイまでやってきた。ついに、という感じがある。「ベトナム入り」は個人的に大きな区切りだと位置付けているので、ここでこれまでの旅を軽く総括して、どんな心境でベトナムまで至ったのかを書いてみる。 総括 ハノイに到着したのは2018年の12…

【日本/東京/文京区】旅にでるまで (1)奇跡のバランス

旅がなかった人生なんて 『前前前世』という曲がある。前世の前世は前前世、前前世の前世は前前前世という理屈なのだと思う。ぼくは、ひとこと「前世」だけで、前世のみなさん全般を指すものだと思っていたが、それは安易な先入観によってもたらされた固定概…

【中国/広西チワン族自治区/南寧】オヤッサンの混ぜそば

もしその店のオヤッサンが「実は東京進出を考えてる」と言ったらぼくは出資を申し出ていただろう。 「本当ならこの金でヨーロッパまでいくつもりだった。でも今回はインドまでにしとく」「いいのか?」「ああ。オレが旅することも大事だが、それと同じくらい…

【中国/広西チワン族自治区/南寧】Just City ─ただの街─

美しい街 「○○族」と聞くと、日本人の感覚ではどうしても未開の部族のようなものを想像してしまうかもしれない。たとえば「チワン族自治区」だなんて聞けば、それは未だ文明から隔絶した森の奥深くに酋長を中心とした集落があり、そこでは、狩猟を中心とした…

【中国/広西チワン族自治区/陽朔】下心と大した話

下心 田舎のゲームセンターにいる中学生がそのまま大人になったような男性と、英語を話す理知的な麗人の二人組はやっぱりカップルではなかった (前回の記事) 。ビジネスパートナーだそうだ。日本語なら取引先といったところだろうか。とはいえここには旅行で…

【中国/広西チワン族自治区/陽朔】雨と霧の十二月

雨と霧の十二月 工藤新一と対になるのは江戸川コナンではない。西の高校生探偵である服部平次だ。同様にして広東省と対になるのは広西チワン族自治区である。中国最大の少数民族であるチワン族が治めるこの省は、土地だけをとってみれば広西省ということにな…

【中国/広東省/広州】スリム・ウエスト・タワー

中国人女性の多くは化粧をしない。よく化粧をする韓国人女性をぼくはきれいだと思うし、あまり化粧をしない中国人女性もきれいだと思う。日本人女性? さあねえ? どうだろう? 二人の大学の正門の前までバスで行き、そこでぼくは二人を待った。授業が終わる…

【モンゴル/ウランバートル】広州GIRLS

2018年夏。平成がどうとかはもってのほかで、ぼくは二十代最後の夏であることすら忘れていた。 トム 午前中、北京発ウランバートル行きの鉄道で出会ったモンゴル人女性、ドックの勤める会社で日本語ネイティヴ講師としてゲスト登壇をした。オフィスビルの屋…