2020-01-01から1年間の記事一覧

【日本/東京/文京区】旅にでるまで (6)社会人としての青春

『HUB』東京ドームシティラクーア店 時は遡って2015年の年末。忘年会の二次会で一部の社員で連れ立って後楽園にあるアイリッシュパブ『HUB』の東京ドームシティラクーア店に行った。時期が時期なので満席。テラス席に並べられたテーブルのそばには屋外用のパ…

【ネパール/ポカラ】チトワンレディース

街の路線バスにて バルディヤ行きのチケットを今度こそ買うために、長距離バスステーションにもう一度出向いた。昨日は徒歩で行ったところをこの日は街の路線バスで行くことにした。一つの街に滞在できる時間は限られているので、同じ場所に行く必要が生じた…

【ネパール/ポカラ】なんといってもお気に入り

そして湖には静寂がある ポカラはこの旅を通してのぼくのお気に入りだと言える美しい街だ。ひとことで表すと湖と山の町。自然というか地形というか、その全体。いわゆる「ランドスケープ」に魅力がある。ただ自然が豊富というのではない。佇まいがいいのだ。…

【ネパール/カトマンズ→ポカラ】埃の街から湖の街へ

埃の街 「長く半年近く旅をしてから、いろんなことの見晴らしが良くなってきている。この見晴らしを持ってすれば日本に帰ったときも、なんでもできるような気がしてくる」 肌寒いが陽当たりの良いホステルの屋上でひとりで朝食をとっているときのメモにこう…

【ネパール/カトマンズ】アイコスの火

ヒマラヤのお膝元 カトマンズに一泊した翌午前、早速中心部のタメル地区に出かけてヤクの毛でできた手編みのフード付きセーターを買った。一張羅なのでいくつも試着し3,500ルピーから3,000ルピーまで値引交渉をして手に入れた。それをその場でウィンドブレー…

【ネパール/カトマンズ】ウランバートルに似て

三種のカレーとモモ ネパールのイミグレでアライバルビザ用紙を記入するのだが、用意されているペンが詰めかけている人数に足りず、ぼくはそばにいたポルトガル人男性にボールペンを借りた。日本に行ったことのある彼は東京よりも大阪が好きだと言った。夜が…

【インド・ネパール間国境】キラキラバックパッカー事件

真夜中の国境 カトマンズ行きの夜行バスを待っていると、雨が雷雨に変わりバラナシ郊外の長距離バスターミナル全体が停電した。ぼくはベンチにバックパックを置いて自分は立ってチャイを片手にスマホでキンドルを読んでいた(ベンチの周囲は蚊がうるさかった…

【インド/バラナシ】ラブリー

旅と言語化 ぼくがバラナシにいたのは2019年2月の第一週だったが、その三ヶ月以上後にモンテネグロで出会った日本人バックパッカーのYくんも同じ時期にバラナシにいたことが判明した。もちろんバラナシにいたときに我々は出会っていない。だが、二人とも呆け…

【インド/バラナシ】バラナシの歩き方

「なんでこわい? ボラれた?」川沿いを歩いていて、「コンニチハ」と話しかけてくる胡散臭い男を無視すると日本語でそんな言葉をかけてくる。負け惜しみだ。バラナシには「コンニチハ」と言ってくるインド人が多かった。ここには日本人旅行者が多く、そして…

【インド/バラナシ】川沿いに張り付くように広がった土色の街

どこか異なっている熱 不思議な世界観の夢から覚めるとぼくはバラナシ行きの三等寝台列車に乗っていた。夢では、辞めた会社の同僚や、南極、ラーメン、小中学校時代親しかった友人のヒトシ、弟、THE YELLOW MONKEYの1stアルバムなどあらゆる情報がごった煮で…

【日本/東京/文京区】旅にでるまで (5)東京ドーム

ひかrewriteが振られて、まずはじめにやったことは東京ドームで行われる THE YELLOW MONKEYのライブに行くことだ。2017年の年末だった。彼氏のためにとっていたチケットだったが、持て余していたようだったのでぼくはそれに立候補した。それは振られたその週…

【インド/アムリトサルメール】コルカタ発バラナシ行

ホグワーツに行くとき 大混雑のハウラ・ジャンクション駅内の食堂でハッカ・ヌードルを立食いし、ミネラルウォーターを買い込んで、19時10分の「AMRITSAR MAIL(アムリトサルメール)」という名を持つ寝台列車に乗り込んだ。ここはコルカタ。目指すはバラナ…

【インド/コルカタ】Obey The Traffic Blues

交通ブルースに従え! アジアなら大体どこの国でも日本の感覚で歩行者をしていたら数日以内に轢かれる。ずいぶん先のことになるけど、モンテネグロにたどり着いた頃、まだアジアを旅していたときの感覚で車が通り過ぎるのを待っていたら、ピタッとぼくの前で…

【インド/コルカタ】アポールさんへのビデオレター

帰りたいと言える季節 ペイは前日にバラナシへ旅立っていた。SIMを手に入れたと連絡したセンから朝起きると返事が届いていて、バラナシの環境は「not good」だから覚悟しとけというメッセージが添えられていた。「bad」じゃなくて「not good」とオブラートに…

【インド/コルカタ】シールダ駅とハウラ駅

シールダ駅まで・パーソナルスペース 街中まで六キロを歩く過程でぼくはマフィンを、イェジィは餅のようなものを買い食いして、それを昼食とした。ぼくはマフィンを食べ切ってしまったが、イェジィは餅を分けてくれた。この人はなんでも分けてくれる。世の中…

【インド/コルカタ】商談の失敗

インドと内需 「Sorry, very hungry」と言って泣きそうな顔でぼくに手を差し出す女性。手押しのリキシャの男は呼び鈴がわりに手で鈴を持ってそれを打ち鳴らす。ポットを持ってチャイを売り歩く男。駆け回る子どもたちの中に長い髪がウェーブしているひときわ…

【インド/コルカタ】コルカタからカルカッタへ

インドの噂 とりあえず街の真ん中まで出ようと決めて、ひたすら歩き続けた。ぼくの見立てでは四から五キロの距離だと言うと、実質的に徹夜明けのイェジィはそのくらい歩くのは全く問題がない、「行こう行こう」と言った。バックパッカーにとってインドはやは…

【インド/コルカタ】インドの洗礼・インドのサラリーマン

インドの洗礼 空が明るくなって空港を出た。「これはインドの空気だね!タイとは違う!」両手を広げたイェジィがそんなことを言っていると早速タクシーの客引きが寄ってくる。ぼくが予約しイェジィもついてくることになったホステルまではそれなりに距離があ…

【インド/コルカタ】靴下の穴

ファイト一発 アライバルビザの発行にそれほど時間を要した記憶はない。真夜中のコルカタ空港、インド入国の一歩手前。二人きりで待たされた我々は一通りの自己紹介をした。コリアンガールはイェジィという名であり、わずかな会話でも英語が抜群にうまいと気…

【インド/コルカタ】二つのアライバルビザ

2時間35分 コルカタ行きのAirAsiaの機内で隣り合ったのは、インド屈指のIT都市として名高い南部のバンガロールからきたタイ旅行帰りのインド人男性だった。奥の座席に通してもらうためにぼくが「Excuse me」と声をかけると、彼は座席の肘掛に乗せた両手の力…

【タイ/バンコク】黒衣の切符切り

刺激 (Hi-Fi) も安らぎ (Lo-Fi) も バンコクのドンムアン空港からインドのコルカタ行きの格安便は2019年1月26日、深夜0時5分に飛び立つ。20日から北部のチェンマイに滞在していたぼくは、実質的な出発当日である25日の日中にバンコクへ移動すればフライトに…

【タイ/チェンマイ】旅の星廻り

旅の星廻り 意外かもしれないがぼくはタイでは友だちができない。昨年 (2018年) 11月にプーケットとバンコクで累計二週間以上滞在したが、そのときも連絡先を交換したのは確かせいぜい三、四人で、特にバンコクでは終始一人で過ごした。もちろん、それはそれ…

【タイ/チェンライ】伝説のギターリフといくつもの可能性

伝説のギターリフ ぼくはシャワーを浴びている。もちろん共用のシャワールームだ。一つの部屋の中に電話ボックスのごときシャワーボックスが、三つか四つ隣りあっている。ぼくは自分のいるボックスの中に石鹸と、てぬぐいと、ロッカーキーと、着替えを全て持…

【ラオス/パクベン・ファイサーイ】川沿いの村、国境の町

戦後復興期の日本 一泊二日メコン川ツアーの夜に立ち寄ったパクベンという村は、ぼくが個人的にイメージする戦後復興期の日本に似ていた。密集している粗末な家々の扉はどこも開け放たれ、夕暮れの炊事がはじまる気配とともに駆け回る子どもたちの声が路地に…

【ラオス/メコン川】ミサンガの子どもたち

オン・ザ・ボート ボートの中で朝からビールを飲む人たちがいる。ぼくはコーヒーを5,000キープでオーダーした。汚れたガラスのコップと一杯分のインスタントのスティックを渡されて、すぐそばのポットからお湯を入れて飲んでみるとミルクと砂糖の味がする。…

【ラオス/ルアンパバーン】関西男と九州男

二つの結婚式 シーパンドン2泊。タケク2泊。ヴィエンチャン3泊。ヴァンヴィエン2泊。ルアンパバーン2泊。ここまで合計11泊。ラオスは駆け足で旅をした国だった。ウランバートルに21泊、アルマトイに15泊、一つの国ではなく一つの街にそれだけ滞在してきたこ…