2022-01-01から1年間の記事一覧
長い眠り ダハブには三泊する。イスラエルとその国境には未知数なところが多く、出たとこ勝負になりそうだ。あちらは物価も違ってくるだろう。ぼくはダハブという海の町を、ヨーロッパに入る前に安くだらだらと休息できる最後の地点だと捉えていた。小さなホ…
レベル3区域へ 夜の十時に、乗客の少ないダハブ行きの夜行バスは出発した。ダハブはシナイ半島の東の海岸沿いにある。そのシナイ半島はアフリカとアジアの結節点にあった。エジプトの国土だが、アカバ湾を挟んで対岸にサウジアラビア、そして北に陸続きでイ…
お気に入りの「タスク」 狭い雑貨屋で、肌に塗るためのココナッツオイルと二つの固形石鹸を買った。石鹸の原材料は、片方がゼラニウム。もう片方が死海の泥。ぼくがこの旅で持ち歩いていた洗面用品は唯一、二つあった。それが、固形石鹸と顔用の保湿剤である…
地中海 七十ポンドの鉄道チケットを買って、首都カイロから、地中海を望む港街であるアレクサンドリアに向かった。アレクサンドリアといえば、古代の図書館であるアレクサンドリア図書館や、小説『アレクサンドリア四重奏』が有名な、なにかとロマンチックな…
到着日 アブダビ発カイロ行きエティハド航空EY655便のキャビンアテンダントは金髪だった。手元に置いておきたいデイパックも頭上の荷物入れに仕舞うように指示されたが、機内食はなかなか美味しい。お昼を回っていたので飲み物にはワインを選んだ。アブダビ…
白いモスクと緑の海 アブダビの朝をむかえた。部屋に備えつけられたポットで沸かしたお湯と、携帯していたティーバッグを使って紅茶を飲み、洗濯をして、通路に置かれた物干し台に、許可をとって洗濯物を干した。アブダビにはシェイク・ザイード・グランド・…
ドバイとアブダビ ドバイ発アブダビ行きのバスは35ディルハム。USB差し込み口とエアコンが完備され、F1サーキットのように濃くなめらかな道路が硬い砂漠の上に伸びていた。誰とも話さずに乗り続けたバスを二時間弱で降りると、アブダビは、火あぶりにされて…
「テレビで観たんだけど、日本人はカエルを食べるんでしょう?」 煌びやかなドバイにも下町があると知って、ドバイメトロのAl Ghubaiba駅から歩くスパイススークという地域に向かった。だが、ぼくはスパイススークを楽しめなかった。歴史的な街並みや、ロー…
毎日がチキンサモサ メトロのドバイモール駅からドバイモールまで、ピカピカの連絡通路がある。ムーヴィングウォーク(動く歩道)なども駆使して、十分弱でドバイモールに到着する。併設のオフィスビルなどもあるが、その連絡通路を歩く様々な国籍の大勢の人…
多国籍ホステル ドバイ最安クラスのホステルは10ドルちょっとだった。そのドミトリーはドバイインターネットシティ(Dubai Internet City)というすごい名前の駅から歩ける、中国にもありそうな高層ビルの中にある。オーナーはファンクというアフリカ系の若…
人種の間違われ方 オマーンからUAE(アラブ首長国連邦)への国境を越えた夜行バスの乗客は、ほとんどが出稼ぎのインド人とパキスタン人だった。そのうちのひとりからぼくはインドネシア人に間違われた。アラビア半島からするとインドネシアも日本も、その遠…
ファンタオレンジ ドバイ行きの夜行バスを、人の少ないバーガーキングで、ファンタオレンジを飲みながら待っていた。バーガーキングなんて普段なかなか行かないし、ファンタオレンジなんて子どもの頃だって飲んでいない。ハッサンが、車でこのバスステーショ…