中国

【中国/広東省/広州】一日しか会話をしたことのない友だち

「夏の想い出」フォルダに日付を入れて 旅路が広州に近づくにつれてぼくはだんだんと不安になっていった。ぼくにとって二人は特別な存在だったが、二人にとってのぼくも、同じだと考えて良いのだろうか。あの夏以降、ぼくは本当にたくさんの人と出会っている…

【中国/広西チワン族自治区/南寧】オヤッサンの混ぜそば

もしその店のオヤッサンが「実は東京進出を考えてる」と言ったらぼくは出資を申し出ていただろう。 「本当ならこの金でヨーロッパまでいくつもりだった。でも今回はインドまでにしとく」「いいのか?」「ああ。オレが旅することも大事だが、それと同じくらい…

【中国/広西チワン族自治区/南寧】Just City ─ただの街─

美しい街 「○○族」と聞くと、日本人の感覚ではどうしても未開の部族のようなものを想像してしまうかもしれない。たとえば「チワン族自治区」だなんて聞けば、それは未だ文明から隔絶した森の奥深くに酋長を中心とした集落があり、そこでは、狩猟を中心とした…

【中国/広西チワン族自治区/陽朔】下心と大した話

下心 田舎のゲームセンターにいる中学生がそのまま大人になったような男性と、英語を話す理知的な麗人の二人組はやっぱりカップルではなかった (前回の記事) 。ビジネスパートナーだそうだ。日本語なら取引先といったところだろうか。とはいえここには旅行で…

【中国/広西チワン族自治区/陽朔】雨と霧の十二月

雨と霧の十二月 工藤新一と対になるのは江戸川コナンではない。西の高校生探偵である服部平次だ。同様にして広東省と対になるのは広西チワン族自治区である。中国最大の少数民族であるチワン族が治めるこの省は、土地だけをとってみれば広西省ということにな…

【中国/広東省/広州】スリム・ウエスト・タワー

中国人女性の多くは化粧をしない。よく化粧をする韓国人女性をぼくはきれいだと思うし、あまり化粧をしない中国人女性もきれいだと思う。日本人女性? さあねえ? どうだろう? 二人の大学の正門の前までバスで行き、そこでぼくは二人を待った。授業が終わる…

【中国/広東省/深セン】名雪の茶と電気街

尖沙咀から歩く 香港島の対岸、尖沙咀にある雑居ビルの一角を占めるホステルをチェックアウトしてから「Share Tea」まで歩いてパッションフルーツグリーンティーを24香港ドルで買った。前日、日本に帰るタピオカ好きの友人を、エアポートエクスプレス発着の…

【中国/新疆ウイグル自治区/ウルムチ駅】途切れていくWiFiに離れていく距離を感じて

ウルムチ駅の高い天井 23:26発のアルマトイ行きの鉄道に乗るために、ぼくはウルムチ駅にチェックインしていた。荷物検査でハサミを没収された。「なぜ持ち込めないんだ?長い旅をしてるんだ。これで髪を切るんだ」そう言っても聞いてもらえなかった。「お前…

【中国/新疆ウイグル自治区/吐魯番】ブドウの楽園

クラウラのおすすめ 実は、ウルムチに到着して一段落したタイミングでクラウラに連絡をとっていた。大学の夏季休暇で一ヶ月に渡る旅を続けていたクラウラはその時点でイタリアにいた。新疆ウイグル自治区で、クラウラにお薦めされた場所のひとつが吐魯番(ト…

【中国/新疆ウイグル自治区/ウルムチ】醒めない夢と I Miss U

プレオープン 50メートル間隔で警察がいる。中規模以上の店に入れば荷物検査。ぼくはあたかもウルムチに生まれ育った人のような顔をして歩く。彼らの眼には留まらない。乾いたこの街には徹底して木が植えられている。緑豊かなストリートの数々。 初日、緊張…

【中国/新疆ウイグル自治区/ウルムチ】少年期と青年期

少年期 旅は人生に似ていて、幼年期、少年期、青年期、壮年期、老年期と変化していくのだ。と沢木耕太郎は言っていた。 その説に倣うなら、ぼくの場合、ウランバートルで過ごした三週間が少年期にあたると思う。 旅のいろはがまだ身についていないからこそ、…