【インド/バラナシ】ラブリー

旅と言語化 ぼくがバラナシにいたのは2019年2月の第一週だったが、その三ヶ月以上後にモンテネグロで出会った日本人バックパッカーのYくんも同じ時期にバラナシにいたことが判明した。もちろんバラナシにいたときに我々は出会っていない。だが、二人とも呆け…

【インド/バラナシ】バラナシの歩き方

「なんでこわい? ボラれた?」川沿いを歩いていて、「コンニチハ」と話しかけてくる胡散臭い男を無視すると日本語でそんな言葉をかけてくる。負け惜しみだ。バラナシには「コンニチハ」と言ってくるインド人が多かった。ここには日本人旅行者が多く、そして…

【インド/バラナシ】川沿いに張り付くように広がった土色の街

どこか異なっている熱 不思議な世界観の夢から覚めるとぼくはバラナシ行きの三等寝台列車に乗っていた。夢では、辞めた会社の同僚や、南極、ラーメン、小中学校時代親しかった友人のヒトシ、弟、THE YELLOW MONKEYの1stアルバムなどあらゆる情報がごった煮で…

【日本/東京/文京区】旅にでるまで (5)東京ドーム

ひかrewriteが振られて、まずはじめにやったことは東京ドームで行われる THE YELLOW MONKEYのライブに行くことだ。2017年の年末だった。彼氏のためにとっていたチケットだったが、持て余していたようだったのでぼくはそれに立候補した。それは振られたその週…

【インド/アムリトサルメール】コルカタ発バラナシ行

ホグワーツに行くとき 大混雑のハウラ・ジャンクション駅内の食堂でハッカ・ヌードルを立食いし、ミネラルウォーターを買い込んで、19時10分の「AMRITSAR MAIL(アムリトサルメール)」という名を持つ寝台列車に乗り込んだ。ここはコルカタ。目指すはバラナ…

【インド/コルカタ】Obey The Traffic Blues

交通ブルースに従え! アジアなら大体どこの国でも日本の感覚で歩行者をしていたら数日以内に轢かれる。ずいぶん先のことになるけど、モンテネグロにたどり着いた頃、まだアジアを旅していたときの感覚で車が通り過ぎるのを待っていたら、ピタッとぼくの前で…

【インド/コルカタ】アポールさんへのビデオレター

帰りたいと言える季節 ペイは前日にバラナシへ旅立っていた。SIMを手に入れたと連絡したセンから朝起きると返事が届いていて、バラナシの環境は「not good」だから覚悟しとけというメッセージが添えられていた。「bad」じゃなくて「not good」とオブラートに…

【インド/コルカタ】シールダ駅とハウラ駅

シールダ駅まで・パーソナルスペース 街中まで六キロを歩く過程でぼくはマフィンを、イェジィは餅のようなものを買い食いして、それを昼食とした。ぼくはマフィンを食べ切ってしまったが、イェジィは餅を分けてくれた。この人はなんでも分けてくれる。世の中…

【インド/コルカタ】商談の失敗

インドと内需 「Sorry, very hungry」と言って泣きそうな顔でぼくに手を差し出す女性。手押しのリキシャの男は呼び鈴がわりに手で鈴を持ってそれを打ち鳴らす。ポットを持ってチャイを売り歩く男。駆け回る子どもたちの中に長い髪がウェーブしているひときわ…

【インド/コルカタ】コルカタからカルカッタへ

インドの噂 とりあえず街の真ん中まで出ようと決めて、ひたすら歩き続けた。ぼくの見立てでは四から五キロの距離だと言うと、実質的に徹夜明けのイェジィはそのくらい歩くのは全く問題がない、「行こう行こう」と言った。バックパッカーにとってインドはやは…

【インド/コルカタ】インドの洗礼・インドのサラリーマン

インドの洗礼 空が明るくなって空港を出た。「これはインドの空気だね!タイとは違う!」両手を広げたイェジィがそんなことを言っていると早速タクシーの客引きが寄ってくる。ぼくが予約しイェジィもついてくることになったホステルまではそれなりに距離があ…

【インド/コルカタ】靴下の穴

ファイト一発 アライバルビザの発行にそれほど時間を要した記憶はない。真夜中のコルカタ空港、インド入国の一歩手前。二人きりで待たされた我々は一通りの自己紹介をした。コリアンガールはイェジィという名であり、わずかな会話でも英語が抜群にうまいと気…

【インド/コルカタ】二つのアライバルビザ

2時間35分 コルカタ行きのAirAsiaの機内で隣り合ったのは、インド屈指のIT都市として名高い南部のバンガロールからきたタイ旅行帰りのインド人男性だった。奥の座席に通してもらうためにぼくが「Excuse me」と声をかけると、彼は座席の肘掛に乗せた両手の力…

【タイ/バンコク】黒衣の切符切り

刺激 (Hi-Fi) も安らぎ (Lo-Fi) も バンコクのドンムアン空港からインドのコルカタ行きの格安便は2019年1月26日、深夜0時5分に飛び立つ。20日から北部のチェンマイに滞在していたぼくは、実質的な出発当日である25日の日中にバンコクへ移動すればフライトに…

【タイ/チェンマイ】旅の星廻り

旅の星廻り 意外かもしれないがぼくはタイでは友だちができない。昨年 (2018年) 11月にプーケットとバンコクで累計二週間以上滞在したが、そのときも連絡先を交換したのは確かせいぜい三、四人で、特にバンコクでは終始一人で過ごした。もちろん、それはそれ…

【タイ/チェンライ】伝説のギターリフといくつもの可能性

伝説のギターリフ ぼくはシャワーを浴びている。もちろん共用のシャワールームだ。一つの部屋の中に電話ボックスのごときシャワーボックスが、三つか四つ隣りあっている。ぼくは自分のいるボックスの中に石鹸と、てぬぐいと、ロッカーキーと、着替えを全て持…

【ラオス/パクベン・ファイサーイ】川沿いの村、国境の町

戦後復興期の日本 一泊二日メコン川ツアーの夜に立ち寄ったパクベンという村は、ぼくが個人的にイメージする戦後復興期の日本に似ていた。密集している粗末な家々の扉はどこも開け放たれ、夕暮れの炊事がはじまる気配とともに駆け回る子どもたちの声が路地に…

【ラオス/メコン川】ミサンガの子どもたち

オン・ザ・ボート ボートの中で朝からビールを飲む人たちがいる。ぼくはコーヒーを5,000キープでオーダーした。汚れたガラスのコップと一杯分のインスタントのスティックを渡されて、すぐそばのポットからお湯を入れて飲んでみるとミルクと砂糖の味がする。…

【ラオス/ルアンパバーン】関西男と九州男

二つの結婚式 シーパンドン2泊。タケク2泊。ヴィエンチャン3泊。ヴァンヴィエン2泊。ルアンパバーン2泊。ここまで合計11泊。ラオスは駆け足で旅をした国だった。ウランバートルに21泊、アルマトイに15泊、一つの国ではなく一つの街にそれだけ滞在してきたこ…

【ラオス/ルアンパバーン】久しぶりのまともな人

雨と道路 この旅で学んだ具体的な知識の一つに「道路は雨によって破壊される」ということがある。それを学んだ訳は単純だ。国の経済レベルが同程度であるとき (つまり道路の補修に回せる予算が同程度であるとき) 、雨の多い国であるほど、道路の状態が悪かっ…

【ラオス/ヴァンヴィエン】ニワトリからワインまで

定番の辺境と内向き志向 道無き道を切り開いているように見えるバックパッカーたちでも、現代のバックパッカーはそのほとんどが定型化されたルートを辿る。意外にもそこが非先進国であるほど、バックパッカーの旅路は定形化される傾向にあった。考えてみれば…

【ラオス/ヴィエンチャン〜ヴァンヴィエン】真面目で爽やか

舐められちゃダメ? ヴァンヴィエン行きのミニバンで一人の日本人男性と乗り合わせた。彼の名はS太。オヤジがシンガポールで働いており、自身はニュージーランドでつい先日までワーキングホリデーをしていたという大学生だった。ワーホリが終わってからシン…

【ラオス/ヴィエンチャン】調和と予定調和

はじめてのHIS ヴィエンチャンでHISに行った。それまでは日本人のいることが明らかな場所 (日系旅行会社、日本大使館、日本食レストラン、日本人宿) に軽々しく出向かない制約を、特に理由もなく、課しているようなところがあった。しかしヴィエンチャンの街…

【ラオス/ヴィエンチャン】固定イメージの外部にある風景を探し

バンコクと東京 「日本人が来たのははじめてだ」と言われた開業したばかりの「Bike & Bed」というホステルに二泊し、タケクからヴィエンチャンに向かった。Bike & Bed のオーナーはバンコク出身のタイ人男性だった。彼はバンコク時代、富士通の子会社でC言語…

【ラオス/シーパンドン〜パクセー〜タケク】南ラオスを北上する

Real Countryside シーパンドン (4000 Islands) でハンモックにぶら下がってメコン川を見るだけの二泊三日を過ごして北へ向かった。目指すは首都のヴィエンチャン。そしてさらにその北部のルアンパバーンという町に行けば、メコン川をさかのぼるボートに乗っ…

【ラオス/シーパンドン】四千の島と星空

自由と責任のネバーランド カンボジアからラオスに越境した。バンのようなものを乗り継ぎ辿り着いたカンボジア側の国境には小さな商店が一つ。「ラオス側よりここの方がレートが良い」と言うバンの運転手の言葉を信じ、ぼくたち乗客は揃ってその商店で両替を…

【カンボジア/シェムリアップ】アンコール遺跡とレッドピアノ

黄緑の平原と泥水の川 マウンテンバイクを5ドルでレンタルし、朝からアンコール遺跡に向かった。徒歩でまわり切るにはアンコール遺跡は広すぎるらしい。予算があるならガイド付きのトゥクトゥクを雇うべきとのこと。それでも2、3日かける旅行者も多いらしい…

【カンボジア/シェムリアップ】CHILL CITY

トイレ問題 朝 (2019年1月1日、あけましておめでとうございます) 。開店直後のカフェに入り、ホットドッグ、フレンチトースト、ホットチョコレートをオーダーする。コーヒーではなくホットチョコレートを飲んだ理由は、これから、ここプノンペンから次の町シ…

【カンボジア/プノンペン】王国麦酒醸造所と日本人橋

YOUR ADVENTURE BIGINS HERE 午前のうちにカズキたちはシェムリアップに移動した。シェムリアップにはあのアンコールワットがある。当然ぼくもそこに行く予定だが、ぼくはプノンペンでもう一日すごすつもりだ。二人とはシェムリアップで連絡をとりあう約束を…

【カンボジア/プノンペン】インドとクルマ

バックパッカーとしてのアイデンティティ プノンペンに到着したのは真夜中も零時を過ぎていた。一国の首都でありながらバスターミナルらしいバスターミナルもなく路上に放り出されたも同然だった。放り出された乗客たちはすべての光源に恐怖するまっくろくろ…